今回の症例は9歳のダックスフントの男の子です。
3歳ごろから皮膚炎を繰り返し、当初は塗り薬や飲み薬で症状が落ち着いていたそうです。
ここ最近は、それでも症状が治まらなく、どんどん脱毛範囲が拡大し、痒みが落ち着かなくなってきたとのことです。
お家では薬用シャンプーも頑張っておられて、週1回以上はされているとのことでした。
全身に島状の脱毛がたくさんあり、脱毛部分の皮膚は赤くなっていました。体に触れるとたくさんのフケが落ちてきます。皮膚表面のコンディションは長年に渡る皮膚炎で非常に悪くなっていました。(下の写真をご覧ください)
皮膚症状の様子からは細菌性皮膚炎が疑われます。症状に合ったシャンプーや抗生物質(細菌をやっつけるお薬)の内服はされていましたが、どんどん悪化している。これがこの症例の難しいところでした(=_=)
各種皮膚検査、血液検査など一通りの検査をすべてさせていただきました。その結果、やはり細菌性皮膚炎の所見が得られました。さらに今回の細菌は抗生物質が効きにくいものということも、別途実施した検査で分かりました。また血液検査の結果からホルモン性の病気が疑われました。また若いころから続く痒みや食事療法の反応などからアトピー性皮膚炎が疑われました。
つまり3つの病気が重なっていたのでした。
治療は細菌性皮膚炎に対しては効果のある抗生物質を、ホルモン性の病気には内服薬を、アトピー性皮膚炎に対しては療法食とサプリメントを使用させていただきました。また、皮膚コディションが非常に悪くなっていましたので、週に1回のスキンケア療法を当院トリミング室で実施させていただきました。
来院時の皮膚の様子が左側、2か月後の様子が右側です。
まだ毛の長さがまばらではありますが、脱毛していた所からしっかり毛が生えてきています。皮膚の赤みも引き、フケもずいぶん減りました。お家でも痒がる様子はかなり減ったそうです(^_^)ホルモン性の病気やアトピー性皮膚炎は今後もお付き合いが必要となりますが、ワンちゃんも飼い主さんも許容していただける皮膚の状態にはなったかと思います。
毎週の通院で飼い主さんも大変だったと思いますが、ワンちゃんと一緒に頑張って通って下さいました。本当に頭が下がる思いです。今後は経過を見ながら定期的に通院していただく予定です。
院長
滋賀県湖南地域(守山市・栗東市・野洲市・草津市)の動物病院
くすの木動物病院